【解説】平成25年度の過去問第29問
今年も暑くなったり、雨が多くなったり変な気候ですね。エルニーニョの影響ですかね。さらに大型台風も日本に直撃するようなので心配ですね。そういえば、ルビーロマンという果物のブドウひとふさが55万円の高額な値段がつけられたり、政府が憲法の解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにもなりました。今年度の問題に出るでしょうか。
さ、今回の問題は、売買契約と第三者から発生する問題です。
ポイント
先取特権、同時履行の抗弁権、所有権留保特約、留置権、契約解除前の第三者
正解4
1解説 ×
設問は動産甲につき先取特権を行使できるか否かを問うています。
民法333条は「先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。」と規定しいます。
設問によると動産甲はBからCに引き渡されているので、Aは先取特権を行使することができません。
動産について先取特権が行使できるか否かの問題は、現在動産が誰の手元にあるかに注意しましょう。
2解説 ×
同時履行の抗弁権は契約の効力として発生します。よって契約の当事者(相手方)に対してのみ主張でき、第三者には主張できません。
AはBと契約関係があるのみで、Cとは契約関係はありません。よって、AはCに対して同時履行の抗弁権を主張できません。
ちょっと難しくいうと同時履行の抗弁権は、双務契約における履行上の牽連関係を維持するための規定です。ですから、双務契約の関係にある当事者のみに主張できると覚えておきましょう。
3解説 ×
所有権留特約は売主に所有権を留保するという条件をいいます。Bは代金を完済しておらず、Aに所有権が留保されているから、Cが甲の所有権を承継取得することを何ら妨げるものではないとは言えません。
判例では、所有権留保特約付き売買契約は売主に所有権そのものが留保されている契約であると解しているようです。判例に従うと、Cは無権利者Bから甲を購入したことになり、Cも無権利者ということになります。
少し難しく思う問題かもしれませんが、「何ら妨げるものでなない」という文言に注意してください。
4解説 ○
留置権は第三者にも主張できる権利です。Aには留置権が成立しており、Cに対して留置権を主張して引き渡しを拒むことができます。
留置権は法定担保物件で、 法律に定められた要件を満たせば当事者が契約しなくても当然に生ずる担保物権です。同時履行の抗弁権と似たような効果ですので、留置権と同時履行の抗弁権とセットで出題されることが多いです。
5解説 ×
解除権者が契約解除前の第三者の権利を害することはできないので、解除を解除前の第三者に主張することはできません(民法545条1項)。
しかし、第三者は権利保護資格要件としての対抗要件を具備する必要があります。
甲は動産ですので引渡しが対抗要件となるります。Cは甲の引き渡しをうけていないことから、Aは解除を主張して引き渡しを拒むことができます。
契約解除前の第三者の問題です。第三者が契約前か否か、保護されるための要件は何か、メジャーな問題ですので必ず正解したい問題です。
総評
売買契約をもとにした設問です。このように複数の規定を問う問題は特に注意が必要です。各選択肢は基礎的なことが問われていますが、売買契約から派生する問題という枠組みで聞かれると、知識があっちにいったり、こっちにいったりとして混乱してしまいます。
それぞれの細かな知識とは別に、どういう場合に条文の規定ができるかという確認を怠らないようにしましょう。
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