法律関係を示す図の書き方(描き方)
作図のメリット
複雑な問題に限らず、単純な問題でも法律関係を示した図を描くと、だれにどのような権利義務があるかを素早く簡単に確認できたり、発見できたりします。再び設問を読み返す必要のないような法律関係を示す図を描けるようになれば、解答時間の短縮につながります。
必ず法律関係を示す図を描くクセをつけてください。
法律関係を示す図をいきなり描こうとしてもセンスがある人は別として、すぐ描けるとは思えません。また、同じ問題でも日によって法律関係を示す図が異なっては効率的な勉強とは言えません。
同じ問題であれば必ず同じ法律関係を示す図が描けるようになるくらいまでになりましょう。
法律関係を示す図の書き方
法律関係を示す図には、
- だれがだれに対して権利義務関係があるか
- 物・不動産の引き渡し、対抗要件の具備などの事実関係
- 事実関係の流れ
などを書き込むことになります。法律関係を示す図を見るだけで、権利義務の発生と権利主張可能かどうかを読み取れるというような図を目指します。
とくに書き方の決まりがあるわけではありませんが、必要最小限度のものだけ書くと見やすいものとなります。
契約関係を示す線
契約関係は横線(―)で表します。線の下に、なんの契約関係かを描けばわかりやすくなります。
この横線を使用する場面としては、すでに契約があったという事実が明らかな場合に使用するとよいでしょう。
権利主張を示す線
ある人物がある権利主張を示す場合は→で表します。この場合、主張する側から主張される側に→で表します。
この→を使用す場面としては、契約関係が明らかではないが権利主張をしている場合、または契約関係があるが権利主張している場合に使用するとよいでしょう。
上の図でいうと、Bが売買代金を支払っていないのでAが請求したんだとわかります。そして、この図をもとに、Bの反論を整理して書き足せばなおわかりやすくなります。(下図)
Aは売買代金の支払いを請求をBにしているが、Bは売買契約は錯誤無効または詐欺取消の反論をして、Aの請求を拒んでいることを図から読み取ることができます。
物の流れを示す図
誰から誰へと物が移動したかを示すときに⇒を使います。⇒の上下に契約の種類や、移動の原因を書くことで物の移動の根拠がわかります。
上の図から、AはBに対して売買契約に基づいて、目的物を引き渡したことが読み取れます。
もし物の移動がBの窃盗によるものであれば下図のように描きます。
上の図から、Aが売買契約の目的物を引き渡さないから、Bが勝手に目的物を持ち帰ってきたのかなと読み取ることができます。
ほかにも、複数人間の物の移動は下の図のように描くこともします。
上の図はAB間の売買契約、BC間の売買契約、物の移動を表していることが読み取れます。日付や物の移動原因(弁済、占有改定、窃取など)を入れるとさらにわかりやすい図になります。
以上の法律関係を示す図はあくまでも一例です。参考にしてみてください。もしご自分で描きやすくわかりやすく描ける方法をおもちであれば、それでよいと思います。
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